恵まれていた天気19日

午前は晴れていたのだが、午後は大降りの雨。しょうがないので、家にてママさんと珈琲を飲みながら午後の時間を過ごす。別に雨が珍しい土地ということもなく、むしろこの時期は雨が多いため、ここ何日かのベストコンディションは運が良かったのだろう。そう何度も訪れることはありえないわけだから、その天の計らいにはやはり感謝したくなる。ママさんからは、マケドニアでのおすすめの場所を色々と教えてもらう。それはガイドブックやネットからの情報では決してたどり着けなかった生の声だ。ただでさえ情報の少ない国だからそうした情報は貴重なのだが、残念ながらこの旅で訪れることはできないのが歯がゆい。もし終わりのない自由な旅行だったらきっと行っていただろう。そして逆に僕のカメラに残っていた高円寺阿波踊りの写真や動画が彼女たちには非常に新鮮かつ興味を引いたようで、ひときわ祭の話で盛り上がった。



ルート変更20日

雨である。豪雨である。だが今日はマケドニアからアルバニアへ向かう。お世話になった主人に宿泊費を渡して外に出る。信じられない、本当に3泊で15ユーロだった。

さて、国境越えの方法だが、当初はオフリド湖をローカルバスでぐるっと南下していく迂回ルートを検討していたのだが、これは長距離の徒歩での国境越えを基本としたピクニック的ルートだ。この豪雨の中その面倒な方法を選ぶこともない、ということで順当ルートである、ターミナルからアルバニア首都ティラナ行きの長距離バスを利用することにした。

↑臨機応変に行こう



アルバニア入国

国外に向かう長距離バスターミナルは、オフリドからまた少し離れたストゥルーガという町にあるらしく、それが結構遠いらしい。方向や行き方を聞きつつ聞きつつ、バス停で待っていると、親切な青年が「これに乗れば行くぞ!」と教えてくれる。ガッツポーズを見せ合い乗ってみると、ミニバンに見せかけた普通のタクシーであるとは……おそらく予算外である。降りようとふと振り返ると、そこには気持ちの良い笑顔で親指を立てる青年。僕は彼の尊厳のためにタクシーで向かうことにした。

ストゥルーガターミナルで時間をつぶし、アルバニア行きのバスに乗り込む。車内ではイスラムミュージックが鳴り響いているあたり、さらに欧州僻地に行くという気持ちが強まる。東方正教7割、イスラム3割のマケドニアと比べ、アルバニアはその比率が完全に逆転する。欧州では珍しいイスラム上位国家なのである。2時間ほど揺られると、国境に到着する。基本、一期一会の僕の旅行スタイルには珍しく、またアルバニアなんていうマイナー国だというに、二度目の入国スタンプが押される。パスポートには6年前の日付の入国スタンプがある。

さらに山道を3時間ほど走り、ティラナらしき市街に入っても雨は降り続き困ったものである。出発から5時間、無事ティラナの中心部に到着。思ったよりも都会で驚いたことに加え、デザイン性の高い建物が多いことも目を引く。ツーリストインフォメーションで情報を集めるが、全体的に宿の値段も高いし、欧州最貧国を謳われながらも、この首都部においてはそれなりの水準を持っているのかもしれない。

↑色のある建物



治安

とはいえ、確実にわかるのはこの町の治安はあまり良くないということだ。言うほど経験値が豊富とは思わないが、それでも時折強く感じる視線や声を投げてくる奴の態度、全体的には気を抜くと何か起こるような雰囲気を肌に感じる。町も暗くなってきた。雨も降っているし、見どころがある町なわけでもないので、今日は夕飯を食べたら早々に旅の疲れを癒すことにしよう。

中心地を少し離れると逆に空気が落ち着くのだが。