寒い広い多い

開けた通りに出た、うん、多分近いんだろう。栄えた街並みを通り抜けるといきなり正陽門が現れる。でかいんだよなぁ、中国は建物のスケールがでかい。北京の町は中央の南北線に重要な建築物が並ぶ。南から正陽門、天安門、故宮・・とつながっているのだ。よし、天安門に行こう!・・・どうやって道路渡るんだ?向こうに行くには何十メートルもあるが歩道橋や横断歩道の類もねぇ。この地下へ下る階段か!・・地下鉄だ。あれ??てな感じでふらふらと田舎者のごとく探してしまった。まぁなんてことなく別にしっかり地下道があったんだけど何故か見つからんかった。カコワルイ。

おー、これが天安門広場か。無駄に広いという噂は本当だった。一言で言うなら無駄に広い。ここでマオツォトンの国家宣言やら天安門事件やら、近代中国には欠かせない歴史的事件が起こったんだよなぁー。何故か天安門の歌を知っている木口どんから旅前に教わった「ウォーシーなんたらティエンアンメェン♪」っつー歌を、歌ってやろうとか思ってたけど、寒くてそれどころじゃねぇや。そんな陽気な気分にはなれん。手袋二枚重ねなのに指先が凍っていくような・・・大丈夫だ。

やたら誇り高い中国人にとってこの場所は自慢の場所なんだろうなぁ。人の多いこと。そうか、今日は休日にあたるのか、しくったぜ。よし、行こう故宮もとい紫禁城へ。



皇帝権力

おぉぉ見えてきたぞー、あれが故宮か!派手だなぁ。元から明、そして清にわたる皇帝権力の絶大なる存在感がここにはある。十メートルの城壁、五十メートルの堀、広さは七十二万平方メートル、約九千もの間を持つ故宮である。建築物はそれぞれが豪快かつ色彩鮮やか。しかし細部まで細かく作りこまれた彫刻、シンメトリーにこだわった構成力は非常に繊細であるとも考えて良いだろう。力に勝るものはなし、柔よく剛を制す、どちらも当てはまる。

↑入り口前、わくわくする。

朱と金の色彩というと、チェンマイの寺院を思い出すが、受ける印象はだいぶ違う。何というか故宮は・・・重い。凄く重みのようなものを感じる。まぁ空気が冷気ではりつめているというのもあるのかもしれないな。てか!あー、とても回りきれないなこりゃ、広すぎだ。どれが何殿で、とか気にしないで足の赴くままに色々と見て回ることにしよう。ん、をい!何で故宮内にスターバックスがあるんだ!萎えるじゃねぇか!!

↑柵だって細かい彫刻でいっぱい。


↑なんか中国の建物、って感じするよな。



故宮を見下ろす

実は、故宮内部よりもオレはこの景山公園の方が楽しみだったりしてた。なぜかって、故宮後方にあるこの公園内の小山に登ると、故宮全体を見下ろすことができるからだ。ということで疲れた足をひきずり軽く階段をせっせと登る・・・のだが、やばい膝が笑っている。そんなに歩きまくったわけじゃねぇぞ!どうしたんだ膝よ。多分寒さで体力が持ってかれてるんだろうなぁー。まぁあとちょっとで着くからがんばろう。あー、文化部代表のオレです。

上から故宮を見下ろす。こりゃあ・・すげぇや。今日は太陽が出ていなくて町全体が霧がかっているから、なおさらに神秘的な雰囲気だ。霧もやの中に紫禁城がぬらりと存在している。眩暈がする。今・・?いや、今は清の時代か?違う、平成十六年だ。現在と過去とが交錯する、そんな幻想を抱かせる。この震えはけっして寒さからではない。



電話とメシ

帰り際、ホテルの近くの電話屋さんによる。ここの兄ちゃんがいい奴で「今日は寒いなぁ、あったまっていきな」って言ってストーブのそばに寄らせてくれた。笑顔のあったかい兄ちゃんだ。その後小さな食堂でメシを食う。メニュー見てもわかんないからかっこいい漢字が並んでいる料理を注文してみた。その名も宮爆鶏丁。中国の料理は基本的に何人かでとるもので、大皿に盛って出てくるんだよな、しかも量は豪快。よく食べる僕ちゃんとしてはうれしい限り。しかし料理が出てから軽く「しまった」と思った。爆の字は辛い調理法を意味していたようだ。むっちゃくちゃかれぇぇえー!!しかもこの量。んが、残すのは男がすたる。「メシを残す」という行為は、ラーメン道に身を置くオレとしてはタブー的事項なのだ。根性で食った。そして死んだ。