泥棒市&おばプロ

ここ El Solario はちょっとした有名な日本人宿でもあったので、泊まってた何人かのパッカーたちとエルアルトに向かうことにする。なぜならば今日は日曜日、ラパスの日曜日といえば、泥棒市とおばプロ。

エルアルトで日曜に開催される古着市は通称「泥棒市」と呼ばれており、思わぬ掘り出し物の服や靴が超廉価で発見できる可能性を秘めた人気市だ。ただしクソ治安が悪く、俺がラパスに滞在していた2,3日の間だけでも、エルアルトでスられたって奴が2人もいた。

だが、恐らく盗品なのであろう有名ブランドのヴィンテージシューズやカバン、パタゴニアやコロンビアなどのアウターウェアなんかが本当に陳列されているものだから非常に面白い。そしてさらに面白いのが、これ買う!って思っても靴片方しかなかったりとか適当すぎるだろ。しかも結構こちらの値下げにも頑なだ。おばちゃーんもっと安くしてよ〜、みたいなやりとりはいつやっても楽しい。でも全然安くしてくれない。

ウユニでこれ着ようぜ!って、多分子供のお遊戯会なんかで着るのだろう珍妙なコスチュームを見つけては爆笑しながらA君と変な衣装を買い漁っていく。まわりのボリ人たちも一緒になって笑って、これ最高!いやこれはダサすぎて熱い!とか言いながら、俄然ウユニが楽しみになってきた。

↑掘り出し物に出会えるか!?


A君とはここで別れ、他の皆と「おばプロ」に行く。おばプロって何かって? もちろん「おばちゃんプロレス」のことだよ。ここエルアルトの日曜日には、なんとインディヘナのおばちゃんがプロレスをするという、最高に頭の悪いイベントが開かれるのだ。おばプロは、インディヘナのおばちゃんが悪役のピエロレスラーと果敢に戦う。妙齢のおばちゃんがコーナーポストからジャンプして技を繰り出すたびに、「お、お身体は大丈夫だろうか……」とヒヤヒヤしてしまう部分もあるにはあるが、テンション的にはクソ盛り上がり、拳を突き上げて皆で絶叫ものである。

面白いのが、レフェリーは完全にヒールサイドと手を組んでいて、ピエロたちと一緒におばちゃんを攻撃したりする。凄まじいまでの茶番劇ながらも、おばちゃんが大技を繰り出すたびに歓声、レフェリーがピエロに加勢すれば大ブーイングと、会場はヒートアップ。客席は現地民7割、旅行者3割といったところだろうか。場所がエルアルト郊外ながらも、この特異極まりないイベントのため、旅行者にも大変人気がある。まぁ普通の旅行者は行かないだろうけどね、ちょっと遠いし治安悪いし。

↑会場の垂れ幕。

↑おばちゃん身軽っ!



Ken-Chan教

イベント終了後、外は真っ暗なのでさっさとラパスに戻ることにする。外国人価格のチケットではあるが、ラパスまでのバス代も込みになっているのは面白い仕組みだね。その後、ラパスにいる長期旅行者が毎日のように通い詰めるという「けんちゃん」へ皆で行く。

パレスチナ人がエルサレムを目指すように、インド人がバラナシを目指すように、ラパスに滞在する日本人旅行者は聖地けんちゃんを目指す。それはなぜか。それは、南米の割にはクオリティの高い日本食レストランだからだ。

日本の冬であるこの時期に地球の真反対までわざわざやってくる旅行者は、長期の旅行者が圧倒的に多い。つまり皆日本食に飢えているのだ。こいつらがミシュラン社員だったら確実に三ツ星をつけているな……というほどの崇拝っぷりで、初めて来たというカナダワーホリ中の男女4人組が涙を流さんばかりの勢いだったのは笑えた。まぁ確かにボリビアということを考えると、このクオリティは素直に凄い。

だがひとつ言いたい。俺は3日前位まで毎日のように日本食を食べていたので何の感慨もなかったことを。