念願の遺跡10日
マチュピチュは村からさらに山のはるか上方にあるので、バスで30分ほど揺られていく。しかしいやらしいものでこのバスがまた片道10$くらいするのだ。同部屋のドイツ人のオッサンは歩いていってしまった。これもまた違う意味でありえん。 マチュピチュ版いろは坂をつづら折りに延々とバスは登る。しばらく登って行くと、折り返すたびに、上方に遺跡の端の部分が少しずつ見えてくる。これにはテンションが上がらざるを得ないし、同時に少し緊張もした。これまでに何度か世界各地を旅行して、それなりに色々なものを見てきたはずだが、ここへきてこの手の緊張感を抱けるのは、正直それだけの力と格を備えている遺跡の証拠だろう。 バスを降り、入場門をくぐり山壁沿いに少し歩くと、突然目の前が開けて遺跡が広がるのだ。何度も何度も"写真で"目にしたあの遺跡が広がっている。こんなに迫力を持って迫ってくるのに意外と静かなんだな、思ったよりも高いところにあるんだな、思ったよりも険しいギリギリな建ち方をしてるな、思ったよりも遺跡は広いんだな、思ったよりもまわりの山風景に溶け込んでいるんだな……決して写真では伝わりきらないリアルな感想がダイレクトに溢れだす、こればっかりは実際に見た人の特権だよな。 ↑これが入り口ゲート。 ↑これが出てきたときは感動したなー。 ピチュ堪能 まずは!後ろに立っている山!これの登頂ですよ。マチュピチュ遺跡全景を映した定番写真、その奥にそびえている山があるのがわかると思いますが、ここ、ワイナピチュいいます。一日朝昼200人ずつ制限のかかっている山で、軽い気持ちで登りだすと痛い目に合う。見ている分には楽にいけそうなのだが、とにかくほぼ一直線に急勾配を登っていくため、気がつけば汗だくゼーハーだ。後ろのスペイン人に「ふぁいとにっぽん!」とか言われても、が、頑張ったりなんかしないんだからねっ! ↑思った以上にハードな山。 いや、正直ね、俺はワイナピチュはどうでもいいと思ってたの。マチュピチュ行くしついでに行ってやるかくらいの上から目線で、ワイナピチュセットにすると入場券の値段上がるからむしろやめようかとまで思っていたくらいで。これは、もう、ホント大間違い。ごめんなさい。むしろマチュピチュ見渡すよりも、ワイナピチュ頂上からマチュピチュ見下ろした時の方が100倍くらい興奮したわ。俺は一番高いところのせり出した岩の大特等席を陣取って遺跡を見下ろし続ける。 ↑見下ろす遺跡も、まわりの山も素晴らしい景色。 ハードな登頂劇となるので、基本元気な旅行者ばかりが登ってくるんだけど、俺がぼーっとしてたら日本人の老夫婦が登ってきた。「何度も何度も休んでやっと来れたよ」と汗だくで笑っていた。仲良く並んで座る二人の背中を見て、おじいちゃんおばあちゃんになって二人でマチュピチュを岩山から見下ろすだなんて、どんだけ最高な状況なんだよと思ったな。 毎年落っこちて死ぬ馬鹿がいるとのことで、確かに足場は非常に悪く、今地震でも来ようものなら谷底へ真っ逆様だろう。そんな大岩の上で太陽をいっぱいに浴びながら見下ろす、尾根沿いに造られたインカの隠れ里は格別。 ↑落ちたらさようならです。 その後マチュへ戻り、休暇中のキャセイパシフィックのスッチーさんたちとマチュを堪能し、アルパカさんと写真を撮ったりキャイキャイしていたら雨が降ってきたので、俺は列車の時間も迫ってきていたこともあり麓に戻ることにした。さっきまであんなに晴れていたのに降ってくるとは山の天気は女心のように変わりやすいんだなぁ。みつを。 ↑1000人クラスが暮らしていたため意外と広い。 ↑戦闘力の鬼高そうな謎の虫。 ↑アルパカさんは気まぐれさん。 |