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バイク爆走
朝8時、トゥクトゥクに乗り、バンテアイ・スレイに向け出発。ドライバーはホンダをこよなく愛するティナ。自動車メーカーのホンダなのかサッカー選手のホンダなのかは定かではない。知る人ぞ知る事実だが、東南アジアでは「味の素」が超メジャー食品調味料として流通していてTVCMもバンバン打っている。そのCMで流れるフレーズ「アジノモト!」と言うと、彼はCM通りに「ハイッ!」と返してくれる(笑)。 赤土の未舗装の道路を砂埃を巻き上げて走り、砂塵にまみれて真っ赤になるためトゥクトゥクでの長距離観光は控えるべき……ということは今やなく、恐らくここ数年でだいぶ交通インフラ事情も良くなったんだろう、普通に快適快適。むしろ風を受けて気持ちいいです。 ![]() ↑ティナバイクは快適。 トゥクトゥクをすっ飛ばして2時間ほど走り、バンテアイ・スレイに到着。この遺跡は赤褐色の石で造られた遺跡であるため、太陽の光を正面に浴びる午前の時間帯が最も美しいとされる。こじんまりとした遺跡ではあるのだが、日本語で「女の砦」と訳される繊細で緻密な建造物は、アンコールまわりの遺跡とは一線を画す雰囲気をまとっており、シェムリアップ中心地から遠く離れているにも関わらず強い人気がある。中でも、女神を意味するデヴァターの彫像は、「東洋のモナリザ」という素晴らしい栄誉を以て讃えられているんだと。 ![]() ↑赤く輝く遺跡だ。 ![]() ↑彫刻の細かさも異常。 しかしこの遺跡は金持ってるね〜。チケットオフィスや土産屋、遺跡に至る導線の作り方とかめちゃくちゃ綺麗に整備されている。電子チケットだし。女神が微笑んだんだね。小さい遺跡なので、特に説明も受けないしガイドブックも読まない適当な俺たちは数十分で観光を終えてしまう。どれがデヴァターなのかも最後までよくわからなかった(笑)。ティナの姿が見えないので、周辺にある村なんかを探しがてら歩く。こういうゆるい時間があるからこそ自由旅行はいいんだよな。 ![]() ↑チャリ明らかにでかい。 ベン・メリア さて、そこからさらに2時間以上の時間をかけ、ベン・メリアに向かう。道中、彼方まで広がる乾いた平原や、生い茂るジャングルを交互に切り込みながら進む。途中で寄った民家の人々や、合間に歩いて出会う人々、その笑顔の深さは得難いものがある。気持ちの良い時間だ。わずか30年程度前に、近代屈指のジェノサイドが展開された国だとはとても思えないな。いや、だからこそのこの優しさを持った距離感なのか。 事実は小説より奇なりというか、国民の20%もの人間がいち政党に虐殺され尽くすだなんてあまりにも馬鹿げていて現実感に欠ける。だが、歴史上ではごく稀に、いくつかの政治、軍事、人物などの状況がカチリとはまった時、ありえないことが現実として歯車を回す時がある。カンボジアの大量虐殺はまさにそれで、表層的にはアジア後進国ながらも農業や観光業を軸に明るく暮らしているようには見えるが、たかだか30年ちょい昔にあった圧倒的な事実はそう簡単に消えるものではないだろう。何してたって殺されたんだから。眼鏡かけてるだけで知識層扱いで殺されたんだから。今だっていたる土地で地雷が撤去され切れずに残っているし、郊外で土地を掘れば人骨がまだまだ出るとも言われている。当時クメール・ルージュでキリングマシーンと化していた少年兵たちだって働き盛り世代の一般ピープルとして魂の枷を負ったまま暮らしているのだろうし、街中いたるところで会うおっさんやおばさんたちは表面上穏やかに見えていたとしても、その地獄を通ってきているんだ。 ![]() ↑世代は受け継がれる。 閑話休題。 いや、閑話休題するにしてはあまりにも大きい話題だけれども。 昼過ぎにベンメリア遺跡に到着。腹ごなしをしていざ遺跡内へ。俺は正直アンコールの中心遺跡よりも、このベンメリアに興味があった。いまだ整備されていない崩れたままの遺跡からは、より強く森と共生する文明の息吹を感じることができるらしい。そして、その言葉に偽りはなく、遺跡の崩れぶりは予想を大きく超えていて、迷路のように入り組んだ、ガラガラに崩れた石や遺跡の屋根の上を歩いて進む。「蓮池」を意味するこの遺跡、木々に覆われどこか薄暗く苔むしたその世界観は見事で、やはりここに来ておいて良かったと思ったのであった。遺跡のハイライトは間違いなく此処だな! ![]() ↑崩れた岩の上を歩いていく。 ![]() ↑苔生した具合がたまらない。 夜、ドライバーのティナと友人のティエンと4人でメシを食いに繰り出す。チュナンダイというカンボジア定番の鍋料理とビールをたらふく。鶏ガラがこれでもかというほど効いているコクのあるスープに野菜、肉、つみれなどの具をどんどん放り込んでいく。これがマジでうまい!!でも、現地人御用達の普通の屋台だったけど、けっこういい値段するんだよね。ひとしきり食ったら締めにラーメンをぶち込んでご満悦。 ![]() ↑ご機嫌な夜だぜ。 その後ノリにノッた俺たちは、シェムリアップで人気のクラブ行こうぜ!と誘ったんだけど、「あのクラブは高いだけで面白さに欠ける」とか言うので、「じゃ、なんかオススメしてくれ」と要求してみる。そして、またこいつらが悪い奴らで、カンボジアナイトライフは実に楽しいものとなった。そのままキャバ……おっと、カラオケに行き散々飲んで楽しむ。 聞いた話によると、カンボジアのキャバカラは、派手なパチンコ屋のごとき佇まいとのことだ。駐車場も広くネオンも煌々としており、地方のラブホテルといった赴きである。らしい。日本のように5人入ればいっぱいになるような小部屋ではなく、30人くらい入れそうな大箱に通されると、キャバ嬢が20人くらい謎にずらずらーっと入ってくるので自分担当を指名する。女の子が1人ずつついてくれて酒を飲まされながらの会話システムというのはキャバクラと同じだね。同じみたいだね。でも場所はカラオケボックスなので、まぁスナックが近い感じになるのかなぁ。歌い放題で、日本の歌なんかも結構ある。でもアーティストのリストは比較的よく揃ってるのに、代表曲があんまりなく地味に歌えない曲ばかりなのはご愛嬌。いや、全部聞いた話だけどね。酒飲みながら歌と姉ちゃんとの会話を楽しんで帰るもよし!交渉してBunBunもよし!キャッキャしちゃうぜ、カンボジアナイトライフ! 妄想だけどね。 ところで、こっちはビールに氷入れるんだよね。すぐぬるくなるから?冷やせる量が限られてるから?何でなんだろうね。日本じゃ絶対やりたくないけど、でもこっちでやると何かうまく感じるから不思議だよね。そして究極の食材『ゲンゴロウ』のパンチは効いていたぜ……。酒の勢いで食えたものの、普通のテンションじゃまず無理。 ![]() ↑実際の味というより精神的にまずい。 この日も夜中帰り。楽しすぎるぜ毎日。 |