アジアの風28,29日

大学生の頃、級友のMを誘ったタイ二人旅は、バンコク周辺はもちろんのこと、北はチェンマイから南はサムイ島までタイの様々な土地を、つまり遺跡観光から山岳アクティビティから南国リゾートからナイトライフのお勉強まで、タイの魅力を存分に味わった彩りのある旅だった。その時降り立ったバンコクの空港はドンムアン空港といって、アジア新興国の洗練され切れていないしょっぱい空港だった。そして今回、約10年の時を経て同じようにMを誘い降り立った新空港、スワンナプーム国際空港は、いまや「アジアの玄関口」と呼ばれ世界最大規模の面積と路線を持つ屈指の国際空港だ。タイという国の勢いを感じさせてくれる。

時刻は日付をまたぎ、スワンナプームでMと待ち合わせ、そのままバンコクの長距離バスターミナルであるモーチットマイへとタクシーで向かう。時刻は午前2時を回ろうとしているが、肌寒さとは無縁の気候、このアジアの風はたまらないな。世界各地いろいろな空気感があるけど、東南アジアのねっとりとした熱気が肌に絡みつくこの瞬間には、何回経験しても堪え切れない興奮があるんだぜ。

↑モーチットマイバスターミナル。



国境越えバス

始発二本目、4:30発の長距離バスに乗り早速カンボジアに向かいます。ゴールデンウィークのハイシーズンであるため日本人旅行者が多数いるんじゃないかとの予想に反して、モーチットマイにはそもそもの旅行者自体かなり少ない。当然日本人は一人もいない。まあ時間が時間ということもあるんだろうけどね。そして隣にいる兄ちゃんは俺が持ってるヤンジャン表紙の水着グラビアをガン見しすぎ。早朝からお盛んだな。

バンコクからカンボジアのシェムリアップ行きの国境越えは、バックパッカーの聖地「カオサン通り」でツアーバスを前日までに申し込み、翌朝8時頃にカオサン前から出発というのがスタンダードな方法だ。僕らは深夜にバンコク到着だったため、いちいちカオサンに向かいさらに翌日までの一日を潰してしまうのを避けたく、モーチットマイ発でダイレクトに国境に向かう始発ローカルバスを選んだ。僕ら、時間が何より貴重な社会人パッカーですよ。

バンコクはもはやアジア経済成長の先端を走る大都市だ。よく整備された道路網を走り、バスは国境へ向かう。アジアをバス移動、というと過酷な移動を想像するかもしれないが、ぶっちゃけ実に快適だ。「アジアで長距離バスに乗って……」とかいうと女の子に「えー、すごーい」とか言われたりするもんだけど、こんなVIPバスでそんな思いをしていいのだろうかという思いを禁じ得ない。

↑明け方の道をバスは走る。