日本じゃねぇ! オレたちパーティーは、詩織の提案でホテルイスマイリアというカイロ中心地に位置する広場にある安宿に泊まった。朝食も付いて、2〜300円くらい、だという。う、嘘でしょ?何その安さ・・・。衝撃だよ、日本だったらありえん値段ね。高須詩織をダブルに押し込みオレたちはドミトリーへ。疲労もあったがそれよりも話をしている方がおもしろく、結局朝まで色々と語り合ってしまった。二人とも旅猛者だった。特にヤナは危険を顧みない男で、この後イスラエルからイラクへ抜けると言っていた。見てみたいんだよねイラク、と年いっこしか違わない彼の言葉に濡れた。オレらが旅は初めてだと言うと「何でいきなりエジプト!?」と驚かれた。そうなのか、とオレたちはその時にエジプトが初心者向けではないことに気づいた。どうやらオレたちはドラクエ5でいえば、幼少期のままゲマを倒そうとしていたらしい。 4人で朝、ホテルを出て、街を散策することにした。昼のエジプトはここで初体験、なのだ。当たり前なのだが「日本じゃねぇ!」と思った。そして、カイロってのはオレの勝手なイメージ、砂漠な感じで落ち着いていて民族色溢れるアラビアンな街なのだと思っていた。しかしこれがまるで違う。スラムだね、こりゃ。生活のエネルギーに満ち溢れていて凄い熱気だ。まず道路の車の激しさに驚いた。車線、信号、速度、法律関係なしの無法状態。をい、普通に車同士ぶつかってるじゃねぇか!道を渡るには車の切れ目を狙って少しずつ進むらしい。そしてだな、エジプシャンがガセ情報でだましてくるわくるわ。嘘をつかれなれていないオレたちは面食らうわー。何かちょっと切ないのね、これ。建物はどれもこれもボロボロだし、ストリートチルドレンとか普通にいるし、「あぁ来たんだな」というのを今更ながら実感したよ。孫の手を引く老人が孫と同じ年くらいのストチルを蹴散らす情景にはへこみました。でも、これ現実なんだな…。しかしこの序盤にヤナとニッシーがいたということは非常に心強い。勉強になったよ、ありがとうおまえら。 イスラームなり しかし生活文化の中で何よりも衝撃だったのはイスラム教だね。オレらをだまして変な店に連れて行こうとしたおっさんが、その途中で礼拝所みたいなとこでコーランを見せようとした瞬間、まわりのエジプシャンたちが大激怒して口論に。これって日本じゃ絶対無い光景だ。彼らは心底信じているんだ、アラーを。無宗教のオレには信じがたいことだが、毎日決まった時間に一日数回、街中にアザーンって礼拝の歌みてーのが流れてみんな礼拝するんだよ。道端でも建物の中でも、ちゃんとメッカの方向いて地面に頭つけて、さ。日本じゃありえない。でも何だか凄くそういった光景が本当に厳かで神聖なものに感じた。同じ世代の若者でも、結構「オレはイスラームだ」って誇り深げに言うんだよね。何だか無宗教のオレからしてみると不思議な感じだった。 それから、バクシーシ、これ。身分の高い者は低い者に施さねばならないというイスラームの教え。金持ちである日本人なんていいカモなんだわ。何かをすれば要求してくる。中には、「これじゃ足りないよ」とぶーたれる者もいる。足りないっておかしくね!?なんだそりゃ。難しい仕組みだなぁと思ったよ。まぁそれもエジプトのおっちゃんに多くて、若者たちはあんまり関心がないというのも事実らしい。実際エジプトの同年代の子たちは親切で、凄く気さくに話しかけてきてくれて、いくらでも時間を忘れて楽しく話すことができた。文化は変遷していくんだな。 街を練り歩く 世界的に有名なカイロの考古学博物館、ここに行けばエジプトの栄華がどれほどのものであったのかがよくわかる。その調度品の威圧感と言ったらもう。長い、ホントに長い歴史を感じた。そしてミイラを見た。エジプト文明繁栄に深く関わってきた偉人たち・・・意外とみんな背低いのね。でも何か見世物になっちゃって少しかわいそうだなぁ。大きな博物館もそこそこに、その後タクシーにてモハメド・アリの宮殿へ。 涼しい宮殿内でグデーッと休憩して、玉座にすわり案の定バクシーシを多めにとられたり、川沿いを歩いてヨットに乗ったりと、四人でワイワイと楽しく街を歩いた。街中のそこらへんの道で観光客を見ることはほとんどない。おおかたの旅行者はバスで見所を回っているのかな。だから外国人とすれ違うだけで何だか妙な連帯感だ・・・なんだこれ。 何だか歩くってことが楽しいのなんて何年ぶりだろうなー。そのまま歩いてラムセス駅に向かう。後日の列車のチケットを買うためだ。いやぁ、迷った迷った。いろんな人に道聞きながらようやくたどりついたよ。駅に向かい歩いた道はスラムっぷり満載だったぜ。日本じゃ考えられない。物乞い、ストチル普通にたくさん、怖かったよブッチャケ。正直疲れたので、帰りは地下鉄に乗ってみることに。日本人が乗ることなんてまずないのかなぁ、わからんけど。ギョッとされた。 ↑その宮殿 |