戦争博物館27日

 ギロカステル城は、そのまま中身が戦争博物館なんだと宿の親父が教えてくれた。行ってみると戦車が立ち並んでいるだけで、これだけかよ!って思ったがすぐに、戦車のみが薄暗い場内に並んでいる様に戦慄を覚えもしたのだ。城内にはだーれもいなく、ただそこで時間を持て余すこととなるが、アルバニア国旗の下で、ギロカステル市街を眺めながらボーっとするにはうってつけの場所なのかもしれないな。

↑今にも動き出してオレを撃ちそうな戦車たち。



アルバニアの影

 城を出てすぐ、高校生くらいの子らに囲まれる。はじめは談笑していたのだが、はじめは冗談めいていた「金くれ」が段々とエスカレートしてゆく。これはちょっとやばい…と直感的に思った瞬間、一人がナイフを取り出してオレに突きつけてきた。

 「金寄越せば刺さなくて済むんだよ!」

 オイオイオイ!正直焦った。ここは渡してさっさと退散してもらうか。刺されたら元も子もないぜ。しかし、何だかムカついてきたのも確か。何でこのガキ共にこんな思いをしてまで渡さなければならないのか。
 押し問答していると、ギロカステル城の警備が騒ぎを聞きつけ駆けつけてきてくれた。ガキ共は途端に去っていったが…あー怖かった。
 いい気はしない。さすがに、ショックだ。



その後には良き出会いが

 街を歩いていると、雑貨屋の前に机を出して勉強している三人組の女の子がいた。水を買いがてらちょっと覗き込んでみると、それはちょうど高校一年生の数学範囲。これはこうしたほうがいいよ、と教えたら、
「他にもわからない問題があるの」
 家庭教師inアルバニアですよ。彼女らは15〜6歳の高校生。一番英語のうまいアダ・コトニちゃん、その妹のクララ、友人のエスメラーダ。はじめはその3人と話していたのだが、友達から家族からその辺のちっちゃい子供からわんさかわんさか寄って来て本当に楽しい時間となった。
 雑貨屋の主人は、「勉強教えてくれたお礼」としてライターやらノートやらいろんな雑貨をくれるし、子供は無邪気でひとなつっこいし最高。アダが英語がうまかったので、みんなとの意思疎通も滞りなくできたし。結局4時間以上もそこに居座ることとなってしまい、温かい気持ちに包まれて宿に帰る。ファレミンデーリ、ありがとう、だ。

 今日はアルバニアの光と影を同時に見た気がするな。

↑オレの眼鏡をかやせ。

↑夏の夜は・・長いね。