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大灯篭祭
ナンプラーと甘みの効いた美味なラオチャーハンを食べ過ぎ部屋で昼寝、もとい夕寝。しかし同宿に泊まっているタイ人の旅行者たちとメコンの祭を見に行こうと誘われていたため、夜8時頃に起床して川に向かう。外は相変わらずの人混みで、昼以上に人が集まってきているように思える。露店の並びから川へと向かう道はまさに押し合いへし合いの一種のパニック状態だ。お祭り好きな欧米人観光者の姿もちらほら見える。そして空には赤橙色の星が多数瞬き……、しかしあれは星にしては明るすぎないだろうか。それとも飛行機か何かだろうか。 メコンでは祭のクライマックスとばかりに灯篭流しが行われていた。静寂など認めないとばかりにロケット花火が次々と川に向けて打ち出され、若者たちが笑顔で騒いでいる。そして驚いたのは、空に向けても灯篭を放っていたことだ。簡易版の熱気球とでも言おうか、日本だと安全上の問題から間違いなく許可が下りないであろうその熱灯篭が数多空を駆けている。先ほど星か飛行機かと錯覚したものはすべてこの灯篭だったのだ。 ![]() ↑川への灯篭流し。 ![]() ↑空への灯篭流し。 ![]() ↑どこまで飛んでいくのだろうか。 空を駆ける灯篭流し……なんて幻想的なのだろうか。のちにタイ人旅行者たちと話をしていると、タイでも同じような熱灯篭の祭があるらしい。日本じゃとてもあんな危ないことは許されないなあと言うと、「そうだろうね」と彼女は笑った。実際人混みに向けて落ちてくる灯篭も数機あった。各々の責任で、といったアバウトが許される空気は良いものがある。実際これだけの人間が密集している中、警備や人員整理の担当者の姿はまったく見えない。激しい熱にあてられた僕は、浮ついた心地のまま宿へ帰った。しかし偶然とはいえ本当に良いものを見た。この部屋には南京虫もいないし、今夜は気持ちよく眠れそうだ。 そして良い気分でホットシャワーを浴びているさなか停電となり、暗闇の中、水シャワーを浴びることになってしまったことも今となってはいい思い出だ。こういう落とし穴がいかにもアジアである。 |