山奥の町へ14日

夜に割ってしまったランプのガラスを笑って許してくれたオーナー最強。おすすめの「Posada de las Monjas」という宿です。さて、今日は移動するよ。

実は通ってきた道をグアダラハラ方面に少し引き返そうと思う。グアナファトという町に行きます。というのも、今日からグアナファトではセルバンティーノ国際音楽祭という世界的にも有名な祭が開かれるからだ。10月にメキシコに行くと決めたとき、必ずこの祭に日程をぶつけようと考えていた。本当ならね、別の町に行って、グアナファトに行って、そのあとにサンミゲルデアジェンデに向かえば効率よかったんだけど、どうにもこうにも日程がね……限られているものですから。各々の町で取る時間との兼ね合いから、このような流れになってしまったわけだ。

そんなグアナファト、バスターミナルからも20分ほど車でかかる。タクシーのあんちゃんの、「グアナファトはメキシコいち最高な町だぜ!」という言葉が突き抜けるね。おう、もちろん期待してやってきたわけだぜ。

山を走る。見えてくるカラフルな町。子供の頃、絵を描こうと道具箱のふたをあけると、所狭しとカラフルなクレヨンが顔を覗かせたものだ。山の中に無造作にクレヨンを放り込んだかのようなこの景観。ここがグアナファトの町である。

↑パステルカラーのポップタウン



グアファト

グアナファトはひっそりと山岳地帯の奥まった土地にある。「グアナファト」とは先住民の言語で「カエルの住む丘」という意味があるらしく、不毛の土地で洪水の影響を受けやすいこのあたりはカエルくらいしか住まないでしょ、って意味から来ているらしい。その後銀鉱にて町が栄えて発展したのは前述した通り。でも度々起こる洪水に頭を悩ませた住民は、建造物を持ち上げることで対処したという。なんつー力技や。その後ダム建設により洪水の心配がなくなったため、その水の通り道は現在は地下幹線道路として利用されている。

↑ここは中心部、ソカロ


町はとてもカラフルで、赤、黄、青、緑、紫、緑……と、本当に様々な色彩の家ばかり。童話の世界に来たみたいだな。今夜から国際音楽祭はスタートするみたいなので、町自体もこれから騒ぎ出すのだろう。ちょっと先走って路上で演奏を始めてしまっている人がいるのもご愛嬌だ。

↑綺麗な町並みだ

↑民謡ソングライター


「ホテル・カサベルタ」を探し回り歩き回りやっと発見。世界的なお祭だ、野宿はイヤなのでこの町だけは日本から宿を予約しておいたのだ。スペイン語解読に四苦八苦しながらメールを送ったので本当に予約出来ているかはすこぶる心配だったが、「待ってたよー!」と陽気なおっさん。「君にはとてもいい部屋を用意しといたよ!」とシングル価格なのに、なぜかキッチン付アパートメントタイプの4人部屋を貸してくれる。んー、ここ値段は今までの中で最安なのに超快適だ。ホットシャワーが時間指定あるのは気になるけど、立地もかなり良いし、屋上がカフェになっていて町全景を見渡せるってのも最高だね。

↑ベッド使いたい放題

↑オレンジの内装もポップ


普段のグアナファトがどういった雰囲気なのかわからないが、町全体が熱を持って賑わっているのがよくわかる。夕方麓から出ているケーブルカーでピピラの丘へと登ってみた。カラフルな町が日没と共に街灯の橙一色に変わっていくのが心地いい。昔見た写真がきっかけでグアナファト訪問を考えていたことはもう書いた。この場所へ来てわかった。丘を見上げてからの予想が確信に変わる。その写真はここピピラの丘から撮った写真だ。町が夜に染まりゆく瞬間を切り取った、今まさに僕が見ている景色がそれだ。これは震えるぜ。

↑そして夜へ……


そして花火の打ち上げと共に2週間に渡って始まるセルバンティーノ国際音楽祭、町中ではストリートミュージシャンが様々な演奏をしたり、芸人たちがパフォーマンスをしている。町の中心にあるファレス劇場では、国内外で活躍する世界的な音楽家が出演するタイムテーブルが組まれ、テレビ局も中継車で基地を作って常駐しているようだ。バーやレストランでもパフォーマンスが行われ、確かにこれはすごいことになっているぜ。

↑ファレス劇場周辺

↑……。


なんてことないいち平日だというのにこの盛り上がりは凄いな。あくせく働きメリハリをつける日本社会とは違い、祭は祭としてガッツリ楽しんでやろうとする気概がよく伝わってくる。というか、グループ、カップル、家族多すぎ。一人者、いない……。ちょっと淋しい、まぁでもこの雰囲気は格別だぜ!!