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グアダラハラから
少し意外に思われるかもしれないが、僕にとって初のアメリカ大陸である。特に避けていた理由があったわけではないがとにかく初めてなのだ。そして話に聞いていた通りフライト時間は長く、寝れども寝れども到着しない。なにせアメリカがゴールではないのだ。そこからさらにメキシコまで飛行機なのだ。非常に疲れるのだ。 旅の予定としては、グアダラハラという中央メキシコの都市から入って、歴史地区を南下する形で首都メキシコシティに向かって行き、シティから帰国ってルートを想定している。合計20時間のフライトを経て、到着したのは夜11時。グッタリっす。。。 両替し、タクと交渉して町の中心街方面へ。このグアダラハラ、メキシコ第二の都市のため相当規模が大きいようで、空港から街に入ってからが長い。メキシコは今、雨季と乾季のちょうど境目で、この日もかなりの雨が降ったのだろう、雨上がりのひんやりした空気と、それでも隠しようのない活気に満ちた途上国特有のすえた匂いがたまらない。来たな、こういう空気を感じる瞬間は旅の醍醐味のひとつだ。 ドライバーが選んだ安宿は、個人的には予算よりも少し……高い。でもまあ、20時間フライト直後、夜中1時、初めて歩く国、治安もわからない土地、もうここで決めさせてください。 ![]() ↑オヤスミナサイ リベルタ 清々しい朝7時……おい、まだ全然暗いではないか。目が冴えてしまってどうしようもない中、8時前にようやく夜が明けたため、活動を開始することにする。この宿は何日か滞在するような値段でもないし、グアダラハラ市内とはいっても恐らく中心地からはだいぶ離れている様子だったため、ひとまず中心地に向けて移動をしよう。……しかしまあ予想はしていたが、とにかく英語が通じないわ。少しはスペイン語の予習をしてくれば良かったと今更ながら思うくらいだね。 ![]() ↑夜明けのグアダラハラ グアダラハラにはリベルタというかなり大きな市場があるようで、ひとまずそこを目指して移動。市場の裏手が安宿通りになっていて、手頃な宿を発見。部屋は薄暗く空気がこもっていてあまり良い印象ではないが、オーナーのおっさんが陽気で親切なのと、大体千円で付近では最安クラスっぽいので決めてしまおう。 ![]() ↑十年以上の相棒バックパック(とヤンジャン) う〜ん、しかし幸先いいね。初日からこんなにも天気が良くて散歩日和だ。気持ちいい。もしかしたら昨日の雨が雨季の終わりを告げる雨だったのかな。だとしたらラッキー!まずはリベルタ市場で食事、次いでソカロ(街の中心地)に行ってみようと思う。リベルタ市場はショッピングモールさながらの大きさで、吹き抜けになった大倉庫に、何フロアにもまたがり屋台、服屋、雑貨屋、玩具屋、電気屋、肉屋、八百屋……とおおよそ生活に必要となりそうなものがすべて詰め込まれている感じ。人の生活臭に満ち溢れていてとても楽しい。 ![]() ↑所せましと立ち並んでいます せっかくなので屋台でメキシコ伝統料理を食べてみることにする。鶏肉のモーレソース煮込みだ、いくぜコレ。モーレソースとは、とある食材と木の実、チリ、砂糖をペーストし煮込んだメキシコ伝統料理とのこと。はっきりってまずそうである。しかしメキシコ伝統料理の最高傑作と名高いこの料理、注文しない理由はない。スティーブン・タイラー似のおばちゃんに注文。「チキンのモーレソースをくれ!」 結果、撃沈。クソまじーーー。この独特の甘み、さらに鶏肉生煮え。おい、ちゃんと火を通してください……。屋台には激しく当たり外れがあるものだが、これもまた旅の醍醐味なり。 ![]() ↑噂のモーレソース 十月祭 旅行をしていて後々わかることなのだが、メキシコの街にはほぼ必ず「ソカロ」と呼ばれる中心地があり、そこには公園と教会が必ず建っている。逆にいうと、地図がなかったとしても、ひときわ大きい教会がありその前に公園が広がっていればそこは街の中心地であるといえる。観光の起点であり宿が集中しているのもこのあたり。ゆえに旅行者は街に入ったらまずソカロを目指すのが鉄則のようだ。現に今も、地図を見ず人の流れに乗るようにして訪れたこの公園がグアダラハラのソカロだ。 この時期にメキシコに来たのは本当に正解で、というのも10月は全土的にフェスティバルが開催されている街が多いのだ。この時期のグアダラハラもまさにそのひとつで、ちょうどグアダラハラ十月祭というイベントが催されていた。雰囲気としては地元民のローカル祭といった趣で、外国人もまったく見ないし宿が取れなくなるなんてこともない。とはいえメキシコ第二の都市グアダラハラ、ここソカロでも人の量はかなりのもので、イベントも連日企画されているようである。 ![]() ↑そしてメキシコといえばコロナビール 広場では、各々のブースで石工たちが岩を削り出し彫刻で競うというイベントが目下開催中だ。さらにこの日は恐らくグアダラハラのミスコンであろう凄まじく綺麗なねえちゃんたちが紹介され盛り上がっていた。そして各ねえちゃんと共におじさんやおばさんが登場し、カラオケをするという謎すぎるイベント。おまえらかよ!ねえちゃん歌わないのかよ! 広場では風船やしゃぼん玉が配られ子供たちがはしゃいで走り回っている。そして前方にはカストラル――大教会が堂々とその威容を示し続けている。 ![]() ↑お祭り日和 ![]() ↑石細工のおっさんがたくさん 夜も更け、十時をまわっても街は眠る気配を見せない。子供たちもはしゃぎまわっているし、カップルの数が少し増えたかな。僕が店をひやかすこともあれば、旅行者である僕に話しかけてくれる人たちもいる。肌で感じる治安のやばさみたいなものが全く感じられない。とても気持ちのいい雰囲気だ。 |