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MANDO DIAO「Bring 'Em In」
ノーマークもいいとこでした、スウェーデンはマンド・ディアオ。ガムシャラに突っ走る楽器とボーカルに単純明快なオルガンがなんとも気持ちいい一枚。なんといっても純粋に曲がよく、これは大名曲だな!ってのはないものの、キャッチーなトラックが@「Sheepdog」〜K「Lauren's Cathedral」までずらずらと並び、非常にわかりやすいので何度でもリピートしたくなる即効性のある好盤。特に好きなのはA「Sweet Ride」、D「The Band」、G「P.U.S.A」、I「Little Boy Jr.」かなぁ。若くガレージ向きな奴と渋くブルージー向きな奴と、対照的なボーカルが二人いるというスタイルもなんともおいしいとこである。オアシスを髣髴とさせるとんでもないビッグマウスな節もオレとしちゃ大歓迎だ。しかしまぁなんというか少々、井の中の蛙的な部分もあるし、あまりにも理解りやすすぎるため曲にもう少し深みが加わればさらに良いと思っておるところですが・・・。これから買おうと思っている人がもしいたら、日本盤のボーナストラックである3曲がこれまた素晴らしい出来なので、是非日本盤を買いなされ。しかし日本での彼らの人気っぷりにはちょっと閉口気味。アイドル的だったりメロコアキッズ共のガレージ入門的だったりと、何か少しイヤな人気の出方をしている気が。


MANIC STREET PREACHERS「Know Your Enemy」
こんなこと書いたらUKロックファンに怒られるかもしれないんだけど、マニックスってあんまし・・・まぁ苦手なんだよね。ジェームスの非常に高らかに伸びていく声と、壮大で爽やかなサウンドがちょっと重くて・・いや、勿論メロディいいなとか思うし、「You Love Us」みたいにギターが素晴らしい曲もあるけどさ。ただ、その中でもこの作品だけは凄くはまったのは事実。マニックスの名盤というと、多分「Everything Must Go」とか「This Is My Truth Tell Me Yours」あたりになると思うんだけど、オレはこれ。というのも、この作品はそれまでの路線と違ってボーカルも抑えたトーンで歌っているし、ノイジーなギターを全面に押し出していて自分の耳にしっくりくる作りになっているからなんだな。作品中のオレ的ハイライトB「Intravenous Agnostic」での恐ろしいまでのグルーヴ感は半端じゃない。おすすめは、先行シングル、ハードなリフが印象的な@「Found That Soul」、日本語のMCから始まるA「Ocean Spray」、ダンス風で賛否両論だがそれまでのマニックスに執着のないオレは好きG「Miss Europa Disco Dancer」あたり。多すぎる曲数でだれていくし、この作品自体はマニックスの代表盤ってものではないと思うけど、前半部の楽曲は賞賛に値する。あと、このバンド名が強引にぶつ切りになったジャケは凄くかっこいいと思う。
MANIC STREET PREACHERS「Lifeblood」
いやぁ!かましてくれたねマニックス。前作と今作でオレのマニックス苦手意識も吹き飛んだようです。無駄な壮大感がダメだと上にも書いたが、最近のマニックスはデビューして十余年の歳月を経て円熟の域に入っているからか、いい意味での渋味がいっぱいに感じられて素晴らしい。この作品はシリアスなメロディとアレンジを前面に押し出しどこか暗めの哀愁が漂っているので、往年のファンとしては首を捻る場面もあるのかもわからんね。しかし昔のマニックスが苦手なオレとしてはまったくもってオーケー。まぁそれに暗めといってもどこか清清しさが音楽の節々に出るのがマニックスの武器なんだがね。そして捨て曲がどうしても多いマニックスの作品であるが、今作はこれは捨て曲だなと思わせる曲が一曲もない。そういった意味では一番作りこまれた優秀作なんではなかろうか?少なくともオレはマニックス最高作品だと思う。おすすめ、ニューオーダーを意識したようなA「The Love Of Richard Nixon」、印象的な耽美なイントロが冴え渡るB「Empty Souls」、鍵盤と60年代アメリカ的な美メロの絡みが素晴らしいC「A Song For Departure」、夢を見ているかのように儚くも力強いD「I Live To Fall Asleep」、センスある絡みのギターG「Glasnost」、ハーモニカとストリングスと切ないメロディに涙腺が緩むK「Cardiff Afterlife」。


MANSUN「Attack Of The Grey Lantern」
もし自分の作品がこんなジャケになってしまったらもう最悪。ブルーローズじゃないっすか。96年発表マンサンのデビュー作にして全英1位の名盤。一曲一曲よく作りこまれていて、新人らしからぬ仕事ぶり。音域を広く持った非常にキャッチーなメロと表現力豊かなボーカルがバンドをひっぱるが、多彩なギタリストを筆頭に楽器隊も柔軟な対応力を持っており、曲ごとにドラマティックなサウンドを聞かせてくれる。これが間違いなく作品を代表しちゃう曲てのはないんだけど、どれも平均的にレベルが高いから敢えておすすめをするのは難しい。それでもオレ的に好きなのは、ストリングスが徐々にテンションを上げて爆発する@「The Chad Who Loved Me」、リズム隊のセンスが光る妖艶なD「Wide Open Space」、作品中最もキャッチーなE「Stripper Vicar」あたりか。ホントはデビューシングルの「Take It Easy Chicken」が大好きなんだけど、アルバムの流れに合わなかったために入れなかったらしい。それでもこの完成度だ。


MEW「Frengers」
このバンドを03年最大の新人と捉えてる人も多いかと思う、それくらい良く出来た作品で芸術性が高いすわ。んー、まぁ正直ボーカルの美声具合がどうもオレ好みではないため思い入れはそこまで強くないんだけど、でもそれはあくまで好み、という話であって客観的にこのアルバムを考えればかなりの傑作の部類に入るんだと思います。何よりも褒めるべきはその新人離れした曲の構成力。繊細なメロディとスネアにうまくインパクトをのせることにより生み出す変拍子がなんとも特徴的で、グレートジャーニーばりな迫力で迫ってくる楽曲群は見事。出身地である北欧独特の美しいポップスも良く反映されていて、ギター、シンセ、ボーカルの音色系は神秘性を高めるための作業を徹底して行っています。マイブラやスマパンの音楽性を引き合いに出されるって結構光栄なことだと思うんだけど、このバンドはさらにシガロスやムームみたいなアイスランド出身のバンド勢的な雰囲気も持っていて、独自の美を構築しようとしています。どの曲も見事な完成度なんですが、@「Am I Wry ? No」は特に出来がいい。次々と表情を変える曲展開が素晴らしい。そして、ラストの方が圧巻なI「Comforting Sounds」は03年度発の曲の中でもトップを争う名曲かな、と。って書いてるが主観的にはさっき書いたとおり何故かそこまでなんだけどね。


MERCURY REV「Yerself Is Steam」
元フレイミング・リップスのジョナサン・ドヒュー率いるマーキュリー・レヴの記念すべき1st。今や名プロデューサー、デイヴ・フリッドマンさんなんかもメンバー。ディストーションギターを利かせ、躍動に満ちた楽曲たちで聴く者を魅了する。後に最大の武器となっていく、壮大で美しいハーモニーもすでに随所に見ることができる。言うなれば、ノイズギターロックの随所に華を飾りつけている感じ。@「Chasing A Bee」から美世界を構築。様々な楽器と優しげなコーラス。続くA「Syringe Mouth」のいきなり刻み込まれるギターやB「Coney Island Cyclone」の不協和音のようなギターはセンス抜群。シンフォニーな宇宙感覚を見せつけるD「.Sweet Oddysee Of A Cancer Cell T' Th' Center Of Yer Heart」、サイケでドロドロな長尺ナンバーG「Very Sleepy Rivers」。隠しトラックがまた名曲なんだな。良いアーティストってのは一枚目から凄い作品を作ってくるもんなんだなぁー。


THE MOONEY SUZUKI「Electric Sweat」
我々日本人にとっては、親しみやすいというか逆に何故!?と首を傾げたくなるようなバンド名を持つ彼ら。まさに2000年代初期における時代の流れのど真ん中を突っ走るガレージロックンロールなわけだが、その音楽的フォーマットはかなり広く、ロックンロールを母体としていながらもソウルやカントリーなどといった領域を意識しているのがなんとなくわかる。ギタリストに関して言えば、音であったりリフであったり実は結構テクニカルで、ジミヘンなんかのギターヒーローを目指してるんじゃないかなぁとか勝手に思ったり。まぁこういう勢いだけと見せかけて本当は実力者ですっていうバンドは残っていくと思います。ライブがうますぎるというか凄まじいからね。個人的おすすめは、イントロギターリフがとてもかっこいい@「Electric Sweat」、作中最もキャッチーでライブでも盛り上がりそうなA「In A Yound Man's Mind」、60年代的な良メロディを持つC「A Little Bit Of Love」、E「Natural Fact」やI「Electrocuted Blues」らへんなんてモロに過去の引用なんだけど、でもこういった普遍的なのはやっぱいいっていう再確認にもなるね。いかにもな曲がたくさん入っています。タイトル「電気汗」通りに暑苦しくてかっこいい作品。


MOTOR ACE「Shoot This」
例の兄弟が大絶賛しました、と。それで@「Carry On」のシングルを聴きました、と。流れるようなヴァーヴ並みのストリングス使いにこれは前途有望なバンドが出てきたのでは!!と思って期待に胸を昂ぶらせて発売されて即買いした彼らの2ndである。が、しかし・・・うーん、どうなんだこれ。いや、もちろん実力はあるんだと思う。リズム隊の腰の入った演奏といい、スローテンポに強みを持つメロディといい兄弟が絶賛したのも頷ける王道ブリットポップ・・・と言いたいところだけど、欧州ともアメリカとも一定の距離を保っているオーストリアという土地勘がそうさせるのか、時折見せるアメリカのエモい感じのメロがやけに鼻につく。それをイギリス風味で聞かせてみました、みたいな。本人たちはイギリス寄りアプローチなんだろうけど、何かアメリカ的な部分が見え隠れしてしまっている部分が惜しい、というか。しかしそれはオレがエモ大嫌いだからそう言っているだけで、多くの層にアピールすることのできるバンドなのかもしれないね。まぁなんつっても@の出来は素晴らしい。次点としてはD「Keeping Secrets」かな。


MUSE「Showbiz」
気がつけばイギリス音楽シーンのひとつの顔に成長していたMUSEのデビュー作。であるが、当時まだ20歳前後だった彼らのこのアルバムを聞いただけでも、後に国を代表するバンドになるだろうという予感は節々に感じる。何でもボーカルのマシュー・ベラミーは、10代の頃にスペインをはじめとするヨーロッパ諸国の民族音楽を聴き回る旅をしたそうで、それが彼らの音楽に影響を与えているのは間違いない。父親が音楽家で母親が霊媒師という特殊環境で育ったのも要因だろう、とにかく唯一無二な音を出すバンドで、この頃はレディへやマンサンのパクリだなんだと叩かれたその高音域に特徴のある声と耽美的なメロディ、クラシック的な鍵盤を積極的にフィーチャーしたスタイル、そしてそれでいてとてもスリーピースとは思えない分厚いハードな演奏力を併せ持つ。初めて聞いた時は洋楽もロクに知らないぺーぺー高校生だったが、とにかく衝撃だけは受けたのを覚えている。捨て曲一切無し。このバンドはいろんな畑の人が好んでいるところがまたおもしろいというか、オレのまわりも、UK好きからハードなの好きな奴から、はたまた洋楽そんな聞かない奴まで、いろんな方面の奴がミューズを好きだな。変なバンドだね。


THE MUSIC「The Music」
ありえんバンド名だが事実である。しかし凄まじい"個"が現れたもんだというのが第一印象。そう、すでに彼らは10代にして自分たちの"個"というものを確立してしまっているのだ。グルーヴィーでダンサブルなリズム隊とうねりまくるセンス抜群のギターリフが駆け回る中で非常にハイトーンなボーカルが雄叫びをあげる様は、まるでドリルが回転しながら耳にねじこまれてくるようである。10代??マジかよ。しかしこの作品は、なんというか、もったいないの一言に尽きる。恐ろしいほどレベルの高い場面は数多くある。例えば、@「The Dance」のサイケ感と高みに上がれるだけ上がっていこうとするギターとボーカル、C「The Truth Is No Words」のグルーヴ感、F「The People」のギターリフに四つ打ちドラム、H「Too High」の後半加速部分など。しかしどうも、一枚通して聞くのが辛いのである。一曲一曲だと平気なのだが、通しになるとしつこさというか、なんだかなぁという気分のまま終わってしまう。常に高いボーカルも疲れるし、なんだか迷路で迷っちゃったかのような失敗感。上にあげたようなグルーヴィーなナンバーは素晴らしい、しかし中途半端なダンステイストを持って聞かせる曲は、いっそのこと全然テイストの違う曲にした方が良かったのになぁとか思う。とはいっても10代でこんな曲を作れちゃうのは凄いし、ギタリストは稀にみる才能の持ち主であることに変わりは無い。


MY BLOODY VALENTINE「Loveless」
恐ろしい名盤だらけのロック当たり年91年発表、この手の類の音楽においては間違いなくトップに君臨するであろう大傑作盤。後にポストマイブラというべき数多くのバンドを生み出した。日本でも有名どころで言えば、初期スーパーカーやチームロック期のくるりなんかはモロにマイブラな曲をやっている。一発目@「Only Shallow」のギターでいきなりノックアウト。ノイズから漏れ出してくる悲しみや喜びの感情、音楽に溶け込み拡散していく意識。一度体験しておいた方が良いです。気に入らない部分といえばスネアが軽すぎるかな位で、ドラム、ベースのセンスもいいし、どの曲も練られた構成下で心地良いノイズと浮遊感に支配されていて完成度が非常に高い。爆発的なイントロからビリンダのボーカルに入る部分が美しすぎる@、作品中最もポップなD「When You Sleep」、幻想感溢れるリフが印象的なE「I Only Said」、ダンスビートとシンセとノイズが綺麗に絡まるJ「Soon」あたりが特にオレの好きな曲かな。同じフィードバックノイズ畑でも、破壊的なジザメリな雰囲気とはまた違う、どちらかといえば再生的とでも言おうか、そのような満ち足りた気分にさせてくれる作品である。女性ボーカルがいるってのもあるんだろうけどね。はまったのが遅めだったから、もっと早く出会ってれば良かったなぁ。


OASIS「Definitely Maybe」
イギリスを、いや、世界を代表するロックンロールバンドの1st。とにかく下手で音もしょぼい。ドラムとかありえない。サイドギターのボーンヘッドとか何させてもらってるんだろう・・。リアムの声も今のような王者たるものではなく、ギラギラしていて若々しい。でも恐らく多くの人は今のリアムの声が最強だと思っててこの頃の声はあまり評価しないんだろうけど、オレはこの頃のリアムの声は凄くかっこよいと思っていて、@「Rock'n' Roll Star」の「今夜オレはロックンロールスターだ」と歌う部分はこの頃の声の方が、虎視眈々と王者を目指している挑戦者的な感があってかっこいいな。そしてサウンドがしょぼいとはいえ、ノエルさんのソングライティング能力はこの頃から渾然と輝いていて、このアルバムの顔であるB「Live Forever」とデビュー曲E「Supersonic」を筆頭に、@、D「Columbia」、G「Cigarettes & Alcohol」、I「Slide Away」等全曲名曲。また日本盤のみに入っている「Sad Song」、いいバラードは自分で歌ってしまうノエルさんですが、これも必聴です。超王道的ギターロック、ノエルさんはギターに関しても才能を如何無く発揮し、泣きのギターを連発する。EIなんかはギターだけで泣ける。また、彼らの圧倒的な自信と野望がこれでもかというほど込められた歌詞も最高で、個人的には、完成度として劣るとはいえ楽曲群に関しては2ndよりこっちの方が好きだったりする。

OASIS「(What's The Story) Morning Glory ?」
もう今更な説明はいらんでしょう。オアシスの代表作であり、90年代、そしてロック界の代表作でもある大傑作盤です。「世界一のロックンロールスターになる」というビッグマウス野郎であった彼らはこの作品で有言実行をぶちかました。最強にかっこええ。オレが音楽に目覚めて以降、初めて「聴き込む」という行為をさせられた洋楽盤であり、自分のUK好きを決定付けた一枚でもあります。この作品には感謝してもしたりない、自分のエゴと贔屓が目いっぱいにつまった作品であります。なんといってもその楽曲群の圧倒的な説得力と存在感にノックアウト。正直、今聞いてみるとやっぱり楽器は下手だし歌もうまくない。作品としてのアラはいたるところに存在するのだけれど、そこがオアシスのいいところで、とにかくメロディとギターの良さ、これだけで全てをまかないきってしまっているのである。前半部の流れはもう向かうところ敵なしで、@「Hello」〜C「Don't Look Back In Anger」の流れは当時何十回、何百回と聴き狂ったことか。洋楽をまったく聴かない人にもB「Wonderwall」とCは納得の出来だと思います。あの曲のここがいい、とかこの曲のあの部分が最高、とかそんな説明はもはや不要です。オアシス聴かないUK好きなんてありえない、存在しません。聴いたことのない人がいたら是非聴いてください。お願いします。
OASIS「Be Here Now」
大傑作2nd の後に発売されたことにより何かと叩かれる対象になるこの作品であるが、普通にかなりの名作の部類だと思います。5分以上ある曲が大半を占めているため、全体的に壮大、を通り越して冗長に過ぎる点が難か。疲れちゃうんだよねって点は否めない。メロディ繰り返しすぎだ、しつけぇぞこの野郎!って。更にこの作品という点で考えずに「97年」という面で考えた時に、レディオヘッド、ヴァーヴ、シャーラタンズ、スピリチュアライズド、ブラーがそれぞれの大傑作を送り出している年であるためイマイチ存在感も薄い。しかし相変わらずノエルはキャッチーで素晴らしいメロディを紡ぎだす。G「Don't Go Away」、K「All Around The World」はオアシスの中でもかなりの上位に入る大名曲。泣きのメロ&ギターが炸裂する。C「Stand By Me」はオレをこの世界に引き入れてくれた恩人ならぬ恩曲。イントロのスライドからギターストローク、サビへとつながるメロ、そしてしつこいサビととにかく最高。ポップさでは1stには及ばないし、完成度では2ndに届いていない。しかしこの作品は前二作を通ってきたからこそできるへヴィーなギターサウンドが満載だ。これでもかこれでもかと畳み掛けてくる迫力とラウドさ具合は圧倒的に前二作をしのいでいる。この三作にB面集を加えてオアシス黄金期と考えて良いだろうね。
OASIS「The Masterplan」
B面にも秀逸な曲を持ってくるため常にシングルの評価が高いオアシスだけど、世界最高峰のB面集と言っても過言ではないこの一枚。絶頂期1st、2ndに十分張る内容を誇っているんだなこれは。ライブでも大盛り上がりの@「Acquiesce」における兄弟がAメロとサビを交互に歌う様は圧巻の出来。そして冒頭「Live Forever」かと思わせるが正直それに並ぶ名曲だと個人的には思うG「Listen Up」。繰り返すギターリフとルート音を下げていくベース、これがまたなんとも感動的。他にも何でこれをシングルにしなかったんだ勿体無い!という曲ばかりで、切ないメロからつながるコーラスが最強渋いA「Underneath The Sky」、ノエルの声が染みる名バラードB「Talk Tonight」、カバーが非常に巧い彼らのビートルズのカバー曲F「I Am The Walrus 」(これを選ぶところがまたニクイ!)、ノースな香りが満載な楽曲に珍しくもリアムの声から切なさが伝わってくるH「Rockin' Chair」、初期のニヒリズムと自信が存分に表れているJ「(It's Good) To Be Free」、大衆的レベルは申し分なくガッツリ合唱したいK「Stay Young」。ベタな展開だがやっぱり名曲M「The Masterplan」。改めて聞き返してみると、本当に「良い」メロディを持った曲ばかりで、とてもB面集とは思えないなぁ。


OCEAN COLOUR SCENE「Moseley Shoals」
次作以降に比べるとどうしても見劣りしてしまう1st発表後にレコード会社との裁判沙汰等で4年もなりをひそめた彼ら。その間メンバーが御ポール・ウェラーのサポートをしたりと修行期間に入り、後にノエルさんや御ポール・ウェラーの後押しもあり大復活を遂げた大傑作2nd。彼ら自身、この作品がオレたちの一枚目だ、と言っているように本当に素晴らしい出来である。イギリスの偉大な先人達の息吹を見事に受け継いだ素晴らしい楽曲群。そしてメンバー全員がそれを受け継ぐだけの広い受け皿を持っているため、非常にセンスの良い仕上がりとなっている。当時は若者たちよりも、どちらかというとポール・ウェラーやビートルズなんかが好きな少し上の世代にウケていたらしい。そうなのか。@「The Riverboat Song」でまずぶっ飛ぶ。UK好きならば悶絶してしまうリフ。A「The Day We Caught The Train」の観客大合唱用のサビメロと、ソウルフルなボーカル。B「The Circle」C「Living Your Pocket」での心地よい感動、Gの「It's My Shadow」の泣きのギター、どれをとっても興奮する。個々のメンバーの実力が非常に高いOCSだが、特にこのバンドのギタリスト、スティーヴは凄まじき職人肌でバンドの要石。オレが最強!と思えるフレーズを次々に叩き出してくる。イギリス人にしか出せない雰囲気やフレーズを惜しげなく披露してくれる彼が大好きです。