雲海の上16日

早朝まだ暗い中、眠い目をこすりながら外に出てみると、視界全体がなんとなく・・・白い。白い?周囲に霧があるわけでもないし、ここは緑の中だ。目をこらしてみると、広がっていたのは雲海。なんとここは、雲の上にある村だったのだ。

荷をまとめて出発の準備。今日もこの村ではいつもと変わりなく一日が始まる。農作業に行く者、学びに行く子供、遊びまわる幼子・・ほんの少しだけれど美しいものに触れさせてもらった気がする。

↑搾りたてのお乳は最高に旨い。



帰れない

行きと同じような険しい道をひたすらに歩く。帰りは下りが主なので行きほどの労力は必要としないが、また違った場所の筋肉を使うので、これはこれでやっぱりきついのだ。しかしそうして歩くこと数時間、見覚えのある景色に出る。山の麓が近い証拠だ。

そしてここでラムさんの持つ携帯電話に電波が入り、マオイストの道路封鎖によりバスが走っていないことを知る。もしここからポカラまで歩いたら、更に数時間・・では済まないかもしれないくらいの距離。ハー、しんどいな。しかし歩かないことには帰ることが出来ない、とひたすらに直線距離を歩く。体力的にはかなり厳しいのだが、田畑に挟まれたずっと真っ直ぐに続く道路を歩くのは気持ちいい。かじる林檎はほのかに甘く、皆でバカな話をしながら歩いているこの時間を愛おしく思うのだ。



ラジタク

すると、女の子を乗っけた一台のタクシーが突っ込んできた。彼には見覚えがある。ラムさんやラジさんと夜遊びをする時に、必ず一緒についてきていたタクシードライバーだ。宿にいるラジさんの粋な計らいによるお迎えである。いつでも最高にご機嫌でテンションの高い彼は、「オイ、今日も夜遊びに行こう!!お、あの女かわいい〜、姉ちゃん!乗ってくかい!?やりてー!」と完全にバカ丸出しだ。しかしそんな彼のおかげで何とかオレたちは宿に戻ることができたのである。