遠くまで

紅茶畑の山々、向こうには大平原。はるか彼方には湖も見える。霧が濃くて空気が澄んでいる。何時間もかけて来た甲斐があった。この環境下で良質な紅茶が育っていくんだなぁ。しかし、なんだ。気候をなめていたせいか、どうにも体がだるくて鼻水が止まらん。危険な兆候だ。

↑とにかく広さを感じるんです。



熱にうなされる12日

旅というものを始めてから初めて旅先で熱を出した。今まで健康体のまま旅をしてくることが出来たが、ここへきて風邪を引いたようだ。メシを食ってアルコールを入れてさっさと寝てしまうことにした。

夜中に何度もうなされては起き、汗ぐっしょりの体で「あぁ俺はもしかしてこのまま引き取り手のいないスリランカの田舎町で骨になるのか」とすら思ったが、翌日起きるとだいぶマシになっていた。というか治っていた。恐らく俺が旅の間常に持ち歩いている、万病に効くという秘薬「ういろう」が効いたに違いない。

しかし大事をとってゆっくりと宿周辺を歩く程度で過ごそう。どうせこの町には見るべきものなど何もない。このいつまでも見飽きることの無い雄大な風景があればいい。しかし広いな。北海道を一回り小さくしただけの大きさでしかないスリランカだが、見所は本当に多く、あらゆる意味での「広さ」を感じられるのも面白い。本当に色々な顔を持つ国だ。



鳥が・・・

夕刻、椅子に座りボーっと景色を眺めていると、ふと一羽の鳥が視界の中を勢いよく飛んでいった。その瞬間、何かはわからないがとても俺の心を打つものがあった。それは説明のできない感動、興奮、達観。「あぁ、これなんだな」という自己満足ともとれる自分だけの納得ってやつだ。その美しい瞬間俺は何故か、今回の旅は良いものになったと心底思えたのだ。



ゲーム大会!

イタリアから来ていた二人組と、俺と従業員の4人でゲームに興じる。スリランカでは有名なテーブルゲームらしく、非常にビリヤードに似ている。違いはキューではなく自分の指。2チームに分かれ、黒白の駒を四隅に入れていくゲームだ。これが単純なようでなかなかおもしろく、皆熱中してしまった。従業員は途中何度も呼び出されて怒られていた。

彼らイタリーはNGOとして、半年前から沿岸部で津波被害救済をするためスリランカに来ているという。休暇か、作業がひと段落したのか、今回ここまで来たのかな。一人は家屋やトイレの建て直しを、もう一人はエンジニアとしてインフラの整備を。まだまだするべきことは多くてキリがないと言っていた。そうだよな、あの大津波がこの国を襲ってからまだ半年しか経ってないんだよな。。

幸い時間はまだ余っている。津波被害を受けた沿岸部の街に行ってみようかな……。