トルファン観光20日
二度寝により少し遅刻しつつ朝の待ち合わせ場所へ赴く。昨日のドライバーが僕を待っていてくれる。今日はトルファンの見所をまわろうと思う…のだが基本的に僕もドライバーも面倒くさがりだったらしく、省けるところは省きながら自由に適当に時間を消費していこうということで折り合いがついた。 高昌故城は、「昨日行った交河故城とおんなじだしつまんないと思うよ」という言葉をそのまま鵜呑みにして外から少し眺めて終わり、葡萄園も、「高いしそれならむしろウチで作ってる干しブドウ見せてあげるよ」というので、むしろそれをお願いしたいところ。と、このように自由に組んでいけるのがいいものである。 まずは僕以外誰もいないアスターナ古墓に赴く。地中の古墳に描かれた壁画や、なぜか干支の石像が並んでいるくらいしか見るものがないのだが、午前の早い時間帯から動いていることは気持ちがいい。西暦200年の晋代から唐代までの出土品が確認されているこの遺跡、当時この地を支配していた高昌国の歴史研究にとって非常に貴重な資料群とのことだ。 ↑羊と猿の石像。謎に2m近くある 火焔山へ 誰もが知っている世界三大伝奇小説のひとつ「西遊記」。天竺に向かう玄奘三蔵率いる一行は、炎が燃え盛る山―火焔山に行く手を阻まれる。その火を消すことのできる唯一の手段は、一度煽げば火を消し去り、二度煽げば風を巻き起こし、三度煽げば雨を降らせる「芭蕉扇」。我らが孫悟空が、持ち主である鉄扇公主と、その夫にあたる大妖怪との熾烈な闘いを繰り広げる場面は、西遊記の中でも屈指のものだ。 その舞台となるのが、名称もそのまま、ここ火焔山。見れば納得、確かに炎が燃え盛っているように見えるから不思議なものだ。 ↑延々と続く火焔山 火焔山に沿って進むと、ベゼクリク千仏洞がある。石を掘り抜いてその中に寺院施設を展開している石窟寺院だ。洞窟内には様々な壁画が残されているが全体的に保存状態が悪い。83ある石窟も、他宗教勢力侵攻の際や外国人探検隊の盗掘などにより、公開できるレベルのものはわずかしかない。とても残念なことである。 ↑雰囲気は抜群だった 家と干しブドウ 「葡萄園なんて高いからやめとけ!」ドライバーとともに彼の家へ行ってみる。日干し煉瓦で作った簡素な家だ。梯子で階上に上ると、そこには自家製の干しブドウが所狭しと吊るされている。ひとつもいで食べてみると、ほのかな甘酸っぱさが口の中に広がる。これは病みつきになってしまう。僕のそばで子供たちもパクパク食べている。「息子さん?」「いや、近所の子だ」家の中にずんずん入り込んで勝手にブドウを食べている、こんなことがまかりとおるのも肩を寄せ合って近隣皆で暮らしているからなのだろう。僕はなんだか嬉しくなってしまった。 ↑これはまだ干す前のブドウ 「日本人の子見つけたよ〜〜」 この町一番との噂のラグメン屋に連れて行ってもらい舌鼓を打ったら宿に戻る。昼の2時ではあるが、この土地にとってはきっとまだ午前のような時間帯なのだろう。でも僕にとっては昼寝をするにふさわしい時間帯だ、と言い訳を装い気がついたら眠りに落ちていた。暗くなり出した頃にノロノロ起きて夕飯を食べようと階下に降りたところ、アイちゃんの第一声がコレである。どうやら明晩砂漠に行くことは決まったらしい。 昨日に引き続きアイちゃんと社長と、件の女の子カヤコさんと夕飯を食べに行く。4人で囲む食卓は非常に楽しく、アルコール分50%の「白汁」という酒をストレートで飲んでいると気分が朦朧としてきてしまう。 ↑カオヤンロウ |