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アラビア部屋
灼熱のハドラマウトに別れを告げ、サナアに戻る。3時間飛行機が飛ばなかろうがそんなのは日常茶飯事なんだろうな。しかし熱により体力を奪われていたからか爆睡で、気がついたらサナア空港に降り立っていた。相変わらず酸素が薄い。 旧市街のど真ん中にあるタージタルハホテル。ここは、白い漆喰にステンドグラスのアラビア様式の部屋なんだ。雰囲気あるよな。敢えて少し高めの部屋に。朝起きてこのサナア旧市街が目の前に広がっていたら最高の目覚めだよな。必ずしも最安の部屋にしない、これが大人の余裕・・・といっても安宿であることに変わりはないんだが。 ![]() ↑部屋。素敵だ。 この情景だ そして夕刻、屋上に上がったオレは息を飲んだ。そこに広がるサナア旧市街、夕陽が漆喰とレンガの家を照らす。街全体が輝いている。風が子供の笑い声を、男たちの会話を運んでくる。街全体が息づいている。やがて陽が落ち街に薄暗いあかりが灯りだす頃、街中に響き渡るアザーン。なんという非現実感、そしてなんという現実感。 『アッラーは偉大なり、アッラーは偉大なり。アッラーの他に神はなし。礼拝に来たれ。成功のために来たれ。アッラーは偉大なり』 この歌は遠い過去から、そしておそらく未来永劫イスラム教徒たちの心の中に生き、歌われ続けていくのだろう。アッラーを信じ敬い畏れることで、彼らは自分たちの信念を成り立たせている。彼らの真理に少しでも近づきたく、オレは必死に耳をこらしてアザーンを聴く。聴くことで何かがわかるのならば苦労はしないが、せめてその空気に触れさせてくれ。 終わらない歌を歌おう。 過去と現在を祝福し、そして未来を見据えるために。 ![]() ↑永遠に続く歌とこの風景。 |