涸れ川を走る19日

ホッブズに紅茶と簡素ではあるが朝飯がついているのは非常にうれしい。日本だと決して飲まない甘ーい紅茶を喉に流し込み一息ついたら、ワディダハールへ行こう。

ワディというのは前述した通り涸れ川のことで、乾季である今は川跡が立派な道路として機能している。その道をひたすら走ること約30分、突如アスファルトの道路から未舗装の道路に変わり、山道をさらに進むとそこにはロックパレスがあるのだ。

↑ワディダハール。



別荘にて

1930年代にイエメンを支配していたイマーム王の別荘であったこの建物。岩壁側から眺めると今にも倒れてしまいそうな印象を受けてしまう。今倒れてきたら・・・と一瞬考えてしまう。現在は政府所有で中を見学することが出来る。中は漆喰で塗られていて、ちょうど今泊まっている宿のような感じだ。伝統的な家屋をそのまま改造しアラビア内装を施している宿だからね。

ここではアメリカ人の集団と出会った。3人男で3人女、そしてこの女性たちが皆綺麗なんだこれが!男もおもしろい奴らばっかで、一人はアラビア語がペラペラに話せ、もう一人は何故か日本史(特に明治期)にむちゃくちゃ詳しい。さらに一人はなかなかユーモアのある男で、「どこから来たの?」と尋ねると、「(小声で)アメリカだよ。でもシーッ、おっきい声で言っちゃダメだよ。」と話す。笑っちゃったよ。どこのイスラム圏でもそうであるように、イエメン国民の反米意識も凄まじいものがある。決して褒められたことでないとはいえ、アメリカの政策を国民の皆が支持しているように思われるのは何だか哀しいけどな。

↑左手側に入り口があります。



サルタ20日

ずっと食べたかったサルタを食べる。地元の安食道、イエメン人でごった返している中で火をゴウゴウと焚いて、大の男が手を広げても届かなそうな大鍋で何かを煮ている。きっとこれだ。サルタとは鉄鍋でイモ、豆、卵などをグツグツに煮込んだシチューのようなイエメン伝統料理。とりあえずホブズが出てくるが、「え?絨毯?」って位にでかい。そして「チキン?ビーフ?食べる?」と聞かれたので反射的に「チキンかな?」と答えると、丸焼きが一匹丸ごと出てきた。ありえん。しかしヤパーニをなめんな!根性で完食。腹パンパンだけど、最高においしかった。

↑安くて美味いのは大衆食堂だよな。

旧市街の名所のひとつであるバーバルヤマンからぐるっと旧市街を囲むように散歩し、夕方は屋上でまたアザーンを聴く。イエメンの夜も今日で最後。本当に、あっという間だな。